大規模なユーザー獲得キャンペーンに投資する前に、ソフトローンチで試してみましょう。どのように始めたらいいかを、ironSourceに伺いました。
アプリパブリッシャーに非常に多いのが、アプリをローンチして、あとは成功を祈るだけというやり方です。Google PlayとiOS App Storeの両ストアに200万本を超えるアプリがある状況で、ひしめくライバルたちよりも目立ちたいなら、運に頼っていてはいけません。私たちironSourceの経験から言えるのは、長期的な成功にはソフトローンチが極めて重要だということです。
ソフトローンチでは、アプリを特定の限られたオーディエンスに向けてリリースします。膨大な数のユーザーにアプリを提供する前に、ソフトローンチでアプリへの反応を見て、問題を事前に解決し、アプリのユーザー体験と収益化を最適化できるわけです。
今回は、アプリのソフトローンチを実施すべき3つの理由を取り上げ、加えて、ソフトローンチを成功に導くためのironSourceからのアドバイスをご紹介します(ユーザー獲得のベストプラクティスの詳細は、App AnnieのUAガイドブックをご覧ください)。
1.テスト市場でアプリの理想的なユーザーを探る
市場全体にアプリを送り出す前に、理想的なユーザーの属性を考えてみましょう。居住国は? 可処分所得は? 性別は? 年齢層は?
アプリの理想に合致する地理的属性とユーザー属性を対象に、ユーザーの生涯価値(LTV)と獲得コストを試算しましょう。例えば、米国にユーザー基盤を構築したいアプリディベロッパーは、アイルランド、オランダ、カナダでソフトローンチを実施するのが一般的です。この3カ国は、米国とユーザー行動が似ていますが、獲得コストは安く済みます。
予算がさらに厳しい場合は、シンガポールとフィリピンに的を絞りましょう。両国のオーディエンスは獲得コストがさらに安上がりで、しかも英語に慣れています。ただし、米国ユーザーほどの購買力はないので、支出行動が異なる可能性がある点は留意すべきです。
こうした最初のテストグループは、ROI(投資利益率)と獲得チャネルの効果を評価するのにも役立ちます。最大の収益を生み出しているのはソーシャルメディアと検索広告からのユーザーなのか、それとも、クロスプロモーションのほうが良い結果を得られているのか。獲得に要したコストはいくらで、代わりになるチャネルを見つけられるのか。さまざまなトラフィックソースをUA戦略に組み込んでキャンペーンをテストしましょう。
2.オーディエンスへの分析を深める
ソフトローンチの実施中はオーディエンスについてさまざまなことを学べます。ユーザーのエンゲージメントが最大になるポイントと最小になるポイントに注意しましょう。その際、リテンションが重要な指標になります。
まずオンボーディングプロセスに注目し、ユーザーの離脱ポイントを見つけましょう。ユーザーがアプリの主要機能に到達するまでに要する時間はどれくらいでしょうか。ユーザーがアプリに積極的にエンゲージし始めるまでに、どの程度の説明が必要でしょうか。
続いて、アプリフローの他の部分についてテストを開始しましょう。(ゲームの場合)プレイヤーがコインを使い果たすのはどのあたりからでしょうか。登録プロセスを完了するのはユーザーの何%でしょうか。ユーザーが使っていない機能がないでしょうか。
こうした最初のテストグループは、技術的なバグと設計上の欠陥を発見するのに役立つとともに、理想的なユーザーと自社アプリとのインタラクションがどの程度うまくいくかを教えてくれるでしょう。
3.マネタイズのモデルを確定する
ソフトローンチで重要なのは、アプリのマネタイズとリテンションの適切なバランスを見つけるのに役立つことです。アプリ内経済における各種アイテムの価格から、アプリ内に表示される広告ユニットまで、収益に関する要素はすべてテストするようにします。
例えば、リワード動画のようなエンゲージメントがより高い広告ユニットを広告ミックスに加えて、その効果をバナー広告と比較するのは重要なことです。また、フィルレートとeCPM(1000回表示あたりの広告費用)を複数のネットワークにまたがってテストすることで、アプリの想定収益が最大になるネットワークを見つけられます。これを最も効率的に実施する方法は、広告仲介ソリューションを組み込むことです。1つのSDKを組み込むだけで、複数の異なる広告ネットワークに接続し、テストすることができます。
広告ベースのマネタイズ戦略の最適化に加えて、アプリ内課金でさまざまな金額をテストするとよいでしょう。そうすることで、ユーザーが日常的に迷わず支払えるアプリ内アイテムの最適価格を見極めることができます。
ソフトローンチ前の最終ステップ
ソフトローンチの実施に先立ち、ソフトローンチ中に監視する指標と機能を確定したいところです。貴重なフィードバックが収集できる項目を、以下にまとめます。
- アプリのパフォーマンス(バグの発見を含む)
- アプリの新機能
- メディアミックス全体
- 広告クリエイティブとブランドメッセージ
- 予算の予測
- ユーザーの好き嫌い
ソフトローンチではすべての項目を綿密に調査し、アプリを世界リリースしてから驚くことのないようにしましょう。
正式リリースに向けてアプリのバージョンを絞り込んでいくのに伴い、データのばらつきは小さくなっていくはずです。ROIがプラスであることをデータが示していれば、データのばらつきが小さいことは正式リリースの準備が整ったサインです。ただし、正式リリースをすれば終わりではないことは覚えておきましょう。以降も細かい調整やA/Bテストを継続する必要があります。
より良いアプリビジネスを構築しましょう
競争の激しいアプリ業界。ユーザー獲得(UA)に継続的に取り組むことは、モバイルアプリを成功に導くうえで最も重要な要素のひとつです。役立つユーザー獲得戦略をさらに学びたい人は、App AnnieのUAガイドブックをダウンロードしましょう。
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Tal Shoham(タル・ショハム)、ironSourceディベロッパーソリューション部門国際事業開発担当VP
マネタイズの最新トレンドに関して豊かなノウハウを持つTal氏。世界中のパブリッシャーやディベロッパーとの持続的なビジネス関係の構築に手腕を発揮しています。 |
2017 M01 10
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