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2020年ホリデーシーズン、米国消費者はモバイルショッピングに10億時間を費やす見込み

Lexi Sydow

2020年10月〜12月のホリデーショッピングシーズンは、モバイルによるショッピングの時間が過去最大になると予測しています。米国ではAndroidデバイスだけでも、前年同期比50%増の10億時間に迫る見込みです。

2020年はこれまでに類を見ない1年となりました。100年に1度の世界的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックで世界経済は大きな打撃を受け、今年のホリデーシーズンはこれまでとは違ったものになろうとしています。変化の中心はモバイルへの大きなシフトであり、小売業界では、(ソーシャルディスタンスが確保できる)自宅でくつろいでスマートフォンから買い物をする、「カウチコマース」のブームとして顕在化しています。  

思いがけないことばかりの1年間には、予期すべきことを把握することが欠かせません。そこで、みなさんがモバイルでの成功に向けで準備できるように、業界の専門知識とモバイルデータをあわせて、2020年の年末のホリデーショッピングシーズンに関する予測をお届けします。

1. 年末のトラフィックはブラックフライデーとサイバーマンデーへの集中が緩和される

2020年のホリデーショッピングシーズンは主に2つの理由で例年よりも長くなると見ています。Amazonのプライムデーの7月から10月への延期と、米国経済の縮小によるものです。2020年第3四半期にさしかかっても、米国の失業率は世界金融危機の時よりも高く、コロナ禍以前の2倍以上の状態が続きました。この影響により多くの米国人は可処分所得が減少し価格に敏感になるでしょう。この状況から、消費者がプロモーションやお買い得商品をホリデーシーズンの前段階から探すようになり、例年よりもショッピングシーズンが長期化すると見ています。   

小売全体の売上高は2020年第2四半期に減少し、4月に前年同期比19.9%のマイナスになりましたが、経済全体は上回り、第3四半期は前年同期比2.2%のプラスになる見込みです。ショッピングアプリの利用時間は例年、プライムデー(7月)、ブラックフライデー(11月)、サイバーマンデー(11月)周辺にピークとなる傾向があります。今年はプライムデーがブラックフライデーとサイバーマンデーに近くなること、米国におけるショッピングアプリの月間アクティブユーザー数(MAU)でAmazon1位を取り続けていること、ほかの上位アプリに対しAmazonが高い重複利用率を誇っていることから、プライムデーが11月のブラックフライデーとサイバーマンデーを少し上回る可能性は高いでしょう。

amazon cross app usage

行動するなら今:小売業者はブラックフライデーとサイバーマンデーに加えてプライムデーにあわせてプロモーションを行うことを考えるべきです。どの日もほかにない独自のお買い得商品、プロモーション、サービス品を駆使し、第4四半期を通して顧客をつなぎとめましょう。WalmartTargetKohlなどの小売業者は感謝祭の日に店舗を閉めるため、ブラックブライデーの先着対面セールが制限されます。そのため小売業者の先着セールはeコマースに依存する部分が大きくなるでしょう。

2.米国は2020年第4四半期、ショッピングアプリの総利用時間が前年同期比50%増の10億時間に

ショッピングシーズンの長期化とeコマースの拡大により、2020年第4四半期はモバイルにとってこれまでで最大のショッピングシーズンになると予測しています。Androidデバイスのみでの第4四半期の総利用時間は10億時間を超え、前年同期から50%増加するでしょう。 

2020年上半期は、eコマースが、ロックダウンの継続による生活必需品のニーズの高まりを受けて急上昇し、通常なら46はかかる成長を達成しましたが、その中心はモバイルでした。2019年第4四半期の賑やかなホリデーシーズンは、ピーク週のショッピングアプリの週間総セッション数(フットトラフィックの代わりとなるデータ)が、米国で25%、英国で15%増加しました。 

新型コロナウイルスの影響によるロックダウンとソーシャルディスタンシング戦略でモバイルのeコマースは急上昇しました。モバイルのeコマース(mコマース)がすっかり日常になっており、これが従来の消費者行動にプラスされていきます。これまでアジア市場に遅れを取っていた欧米市場でmコマースの影響力が年々、確実に高まっていることはこれまでに見てきたとおりです。

成長が見込まれるカテゴリーをいくつか紹介します。 

    • 決済eコマースが急上昇するなか、PayPal(傘下にVenmo)が、決済総額が前年同期比29%増となる過去最高の四半期を報告しました。成功の要因のひとつは、QRコード、非接触型決済など、コロナ禍で消費者のニーズを満たすモバイル機能を優先させたことです。買い物客とのエンゲージメントを維持するのと同時に接触を最小化するため、世界中の企業がこうしたモバイル決済ソリューションを必要な追加策だと考えるようになっています。
    • 食料雑貨食料雑貨のモバイル注文の需要上昇により、ショッピングアプリの週間セッション数は2020年第2四半期も増え続けました。特に目立つのは、この間もCOVID-19の感染症例増加への対応が続いたブラジルと米国です。米国は感謝祭に向けて、食料雑貨のモバイルアプリの利用が高い水準で推移するでしょう。買い物客がCOVID-19感染防止政策と健康ガイドラインを順守するため、在庫確認、セルフレジ、配送、オンラインで購入し店舗で受け取る「BOPIS」などにモバイルアプリを利用するためです。
    • フードデリバリーサービス:米国で気温が下がり年末の小さな集まりが始まる12月は、UberEATS、DoorDash、Grubhubなどのアプリが、外部との接触や屋内レストランでの食事を制限したい人に有用なソリューションになるでしょう。

行動するなら今: 小売、フードデリバリー、決済のアプリは、ユーザー獲得(UA)の最高のチャンスです。ブランドとのインタラクションはすべてが顧客に喜んでもらう機会であり、顧客の満足とロイヤルティを高めるためにモバイルファースト機能を優先すれば、プライムデー、ブラックフライデー、サイバーマンデーの後も、エンゲージメントの向上などに大いに効果があるかもしれません。

3.2020年の独身の日は売上高が450億ドル(約47700億円)を超える見込み──過去最大のショッピングの日に

Alibabaの独身の日(1111日)は2019年、売上高が380億ドルを超えて新記録を達成しましたが、今年はモバイルコマースでさらにシェアを伸ばし、1日で450億ドルという新たな高みに達するでしょう。中国では経済に逆風が吹いていますが、小売は全体のGDP2020年第3四半期は前年同期比3.2%成長の見込み)よりも早く回復するようです。中国の小売売上高は、2020年上半期に9.9%の減少でしたが、2020年第3四半期には前年同期比4.8%になると予測されています。2019年のレベルにはまだ届いていませんが、eコマースのブームとCOVID-19の早期封じ込めにより、中国では小売業全体の回復と記録的な独身の日に、モバイルが大きな役割を果たすとみていいでしょう。 

2020年第4四半期のホリデーシーズンに向けて準備すべきモバイル戦略

この繁忙期を活用したい企業は、モバイル広告を優先するとともに、アプリストア最適化(ASO)戦略を見直してオーガニックなトラフィックを最大化し、また、ユーザーが喜ぶモバイル機能を優先すべきです。特に小売業者は、今年は攻めのモバイル戦略を準備万端にするため、他社との競合状況を検証し、昨年のホリデーシーズンに伸びた企業を確認しましょう。

App Annieでは以下の様々な資料をご用意しています。

モバイルショッピングは小売業界の消費支出と強い相関関係があり、それはeコマースでも実店舗でも変わりません。COVID-19の影響によるロックダウンとソーシャルディスタンシング戦略でモバイルショッピングが加速している今、2020年のホリデーシーズンに消費者にリーチするにはモバイルが欠かせないものになるでしょう。

この絶好の機会をつかんでビジネスを加速させましょう。

 

 

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2020 M09 24

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