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第1回:ヘルスケア・フィットネス〜保険業界のモバイルアプリ市場トレンド

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注目が集まる健康促進と日本のモバイルアプリ市場のトレンドについてご紹介します。

本記事を含め3回にわたり、ヘルスケア・フィットネス、健康促進と保険業界の最近の動きに関して、モバイルアプリのトレンドの側面からご紹介します。第一回目の本記事では、モバイルアプリ市場をマクロ視点で確認した後に、日本のヘルスケア・フィットネス関連のモバイルアプリのランドスケープをご紹介します。

●日本のヘルスケア・フィットネス関連アプリの課金額は2年間で3倍に

現在の生活者は、アプリ利用に1人あたり平均1日3時間、毎月平均40本をチェックしており、2017年のアプリストア支出額(※アプリストアを経由してアプリを購入・利用している額)は全世界で860億ドルを記録しました。この支出額のうち66%にあたる570億ドルが日本を含むアジア太平洋地域で作り上げています。ゲームやSNSなどのアプリが牽引してきたモバイルアプリ市場だが、昨今はヘルスケア、フィットネス分野におけるアプリの隆盛も見られ、日本におけるヘルスケア・フィットネスカテゴリーのアプリストア支出額も直近2年間で約3倍に増えています(下グラフ参照)。

日常的に可処分所得や時間の多くを占めるようになったモバイルアプリ。そのモバイル戦略をどのようにビジネス戦略に落とし込んで行くか、多くの企業が注目しています。例えば、日常生活では成熟化しているフィットネスサービスも、デジタルの世界ではまだまだ発展中で、世界を見渡すと面白いサービスがアプリを通してどんどん伸びており、運動したいと思っている生活者がデジタルシフトしてきている可能性も見え隠れします。ここには、既存のヘルスケア、フィットネスの企業だけでなく、生命保険やフィンテックプレイヤー、全く異なる異業種による新規参入など、多くの企業にとって大きなビジネス機会があるのではないでしょうか。

●日本のヘルスケア・フィットネス、メディカル関連アプリのランドスケープ

それではどのようなアプリがヘルスケア、フィットネスにはあるのでしょうか?現在のアプリストアを見た場合、大きく6つのジャンルで分類してみました。このように見てみると健康管理と言っても実は様々なアプリが存在し、スポーツやフィットネス企業に関わらず、スタートアップ企業から大手保険会社まで様々な企業がこの分野に注目し、自社のサービス領域を広げる動きが目立ってきていることもうかがい知れます。

そして、買収や提携などの動きも見れるようなりました。国外ではアンダーアーマーがMyFitnessPalを、アディダスがRuntasticを買収し、国内ではアシックスがRunKeeperを買収しています。そこにはIoTなどを活用し、そこから得られたデータを解析することによって、生活者にどんなニーズがあるのかを確認する事で、新しい製品開発につなげたいという意図が推察できます。そのような動きは他にも、生理管理、食事や栄養、睡眠に始まり、健康促進を行うことにより生命保険の料金を適切に抑えるような商品が登場するまでに至っています。

メーカーとしては課題や糸口を掴むことができれば、それに対応した商品・サービスを開発・提供し、潜在的な需要を喚起することで売上を増やすことができます。同時にそれは、これまで企業を支えていた主力製品群のほかに、もう1つの事業の柱を立てることにも繋がります。

●どのようなアプリの需要が高いのか、背景や状況を分析し、自社戦略に活かす

日本社会においては自身へ投資する20〜40代層、またアクティブシニア層が多くなる一方で、東京五輪や大阪万博といったイベントを控えています。このような背景を踏まえた中期経営計画を新たに出される企業も増えてくるのではないでしょうか。これから短期・中長期を見据えて、固定概念を捨てて、どういうビジネス機会があるかを再考してみる機会と言えるでしょう。新しい価値を創造するためのヒントは、生活者が意識的・無意識的に日々触れているタッチポイント=モバイルアプリの中に見つけることが出来そうです。どのようなアプリの需要が高いのか、それはなぜかといったことを知るところから入り、戦略立案やマーケティングに活かすことが第一歩になります。

次回以降では、米国やその他の諸外国などグローバルを見た場合に、どのようなヘルスケア・フィットネス関連のアプリが生活者の中で支持され使われているか、日本との違いを見ていきます。また、ここ数年でヘルスケア領域に接近してきた、保険業界やフィンテックプレイヤーのトレンドに関しても見ていきます。

 

2018 M12 21

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