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『ROMA/ローマ』からYouTubeまで、動画ストリーミングがモバイルの主役に

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2018年はモバイルの動画ストリーミングにとって大きな年でした。2019年はさらなる盛り上がりを見せそうです。

224日に行われたアカデミー賞授賞式で新たな歴史が刻まれました。Netflixが配給した『ROMA/ローマ』がネット配信映画として、初めて作品賞にノミネートされ、初の監督賞を勝ち取ったのです。これはアカデミー賞におけるストリーミングサービスの画期的な出来事でしたが、Netflixと他のストリーミング動画プラットフォームは長きにわたって消費者を獲得し、2018年も世界中で拡大を続け、とりわけモバイルで普及が進みました。

ROMA/ローマ』は作品賞こそ逃したものの、Netflixはモバイルで圧倒的な勝利を収めています。Netflix2018年の世界消費支出で全アプリの首位に立ちました。勢力を強めたのはNetflixだけではありません。HBO NOWYouTubeTencent Video の各アプリも、iOSGoogle Playを合計した世界消費支出で上位10位にランク入りしました。一方でYouTube は、世界のアプリ利用時間ランキングで2016年と2017年に続いて首位に立ち、2018年に世界のトップ5動画ストリーミングアプリに費やされた10分のうち9分を占めました。世界のトップ5動画ストリーミングアプリを合計した支出額は、2018年に22億ドルを記録し、2016年から285%増となりました。指標はどうであれ結論は明らかで、モバイル上の動画ストリーミングが主役だということです。

テレビとPCの画質が飛躍的に向上し、価格も大幅に安くなったのに、モバイルの動画ストリーミングが活況なのは興味深い傾向です。そうしたテレビやPCの画面の好条件にもかかわらず、消費者は視聴習慣をモバイルへ移行させています。2019年には史上初めて、電話利用時間がテレビ視聴時間を超えると予測されています。たとえ画面サイズが小さくなるという制約があるとしても、消費者にとって利便性と可動性は王様なのです。

 

こうした傾向には、テレビと動画ストリーミングの業界を越える意味も読み取れます。Mediapostのレポートは、2019年には広告全体が5%伸びるものの、テレビ広告は反対に4%下落すると予想しています。動画ストリーミング業界に属さない企業までもが、アプリを刷新して動画機能を大幅に向上させ、重要なオーディエンスを効果的にエンゲージしようと尽力しています。いくつか例を見ましょう。複数の銀行が双方向の動画アプリを作成し、従来銀行出納係が担っていた取引を処理しています。キャリアとネットワーキングのプラットフォームを運営するLinkedInは、ライブ配信の機能を開発。米退役軍人省のアプリは最近、退役軍人と医療従事者の動画によるインタラクションが100万回を達成しました

 

2019年には、ますます多くの企業が動画ストリーミング市場へ参入し、この巨大で成長を続けるパイの分け前を得ようと試みることが予測されます。とりわけ注目すべきは、Disneyが独自のストリーミングサービスDisney+の近日開始を発表したことです。Disneyは近く、動画ストリーミング市場にDisney+HuluESPN+ABCという4つの上位ストリーミングアプリを擁することになるはずです。App Annieは、動画ストリーミングアプリが2019年も成長を維持し、あらゆるチャネルを合わせたメディア消費(テレビ、PC、モバイルでの動画視聴、読書、音楽再生)1時間につき10分という注目すべき割合を占めると予測しています。

こうしたモバイルへの大移行は、業界の再編になるかもしれません。消費者はいくつもあるサブスクリプション料金の回避を試みており、海賊行為が急増してもおかしくはありません。長期的には、競争の激化が提携、コンテンツのバンドリング、買収などを通じた整理統合につながるとApp Annieは予測しています。また、概要は述べましたが、マーケターはこのトレンドに大きく影響され、モバイルキャンペーンを優先するようになるでしょう。モバイルキャンペーンはもはや、視聴数の獲得だけでなく、視聴者に関するバックエンドデータの提供に関してもTV広告を上回っています。この傾向はアカデミー賞にも引き続き影響していくでしょう。2020年、ストリーミングサービス制作の映画が複数、アカデミー賞にノミネートされ、受賞することになっても驚きではないのです。モバイル動画ストリーミングから目が離せません!

より詳しい市場データとインサイトについては、モバイル市場年鑑 2019 〜ビデオストリーミング編〜をダウンロードしてお読みください。

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2019 M04 4

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