レストランやフードデリバリーの多種多様なモバイルアプリが、顧客の関心とロイヤルティを獲得するため、革新的な手法で競っています。
モバイルに関して言えば、2018年はフード業界にとっても重大な年でした。消費者は以前にもましてデリバリーにスマートフォンを使うようになる一方、企業はモバイルマーケティングの取り組みを拡大することで、オンラインと実店舗の両方に集客を増やそうとしています。App Annieの年次レポート『モバイル市場年鑑 2019』では、世界の消費者が食品と飲料の購入にアプリを利用する件数が、2016年から2018年にかけて130%増加したことが明らかになりました。フードデリバリーアプリは2018年、上位5位の世界ダウンロード数が2016年から115%増加しました。
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Grubhub, Uber Eats, Zomato, Postmates, DoorDashといった上位のデリバリーアプリのダウンロード数に関して、調査対象の地域で最も高い伸びを示したのは新興市場です。例えばインドでは、2018年のフードデリバリーアプリのダウンロード数が、2016年に比べて900%増という目覚ましい数字を記録しました。App Annieが前回の記事で論じたように、新興市場のこうした新規ユーザーは、さまざまなアプリを試して自分に合うものを確かめる段階なので、多数のアプリをダウンロードしています。成熟市場ではエンゲージメントがより重要な指標になります。それにもかかわらず、フードデリバリーアプリのダウンロード数は堅調に伸びており、2016年と2018年の比較で米国が175%増、日本が28%増でした。
成熟したモバイル市場の特徴である、アプリ利用が一般化した段階において、エンゲージメントは極めて重要です。デリバリーアプリだけにとどまらず、McDonald’s、Starbucks、すかいらーく、スシローといった従来のクイックサービスレストラン(QSR)の多くが、エンゲージメントを強化しアプリの使用頻度を高める目的で、モバイルマーケティングの取り組みに注力して創意工夫を発揮しています。
こうした既存のチェーン店の多くがロイヤルティプログラムの力を利用し、ゲーミフィケーションとインセティブで消費者の購入を促しています。これは航空会社のマイレージサービスに似ていますが、 QSRとの大きな違いは、毎日や毎週のように航空券を購入する人がほとんどいないという点です。それに対して、ほぼ毎日食事にお金を使う消費者は大勢いるでしょう。そしてその点が、こうしたモバイルロイヤルティプログラムを極めて強力にする要素なのです。QSRはモバイルのおかげで、通知、テキストメッセージ、さらにはアプリストアページ上の宣伝テキストも活用して、プロモーションを行うことができます。また、こうしたプロモーションは大抵、特定のユーザー属性グループや地域をターゲティングしています。
McDonald’s UKは2018 FIFAワールドカップのプロモーションに周到に投資し、Uber Eatsとの提携によるMcDeliveryの開始も組み合わせ、新たな消費者にリーチして普及を促進する活路としました。この取り組みは成果をあげ、2018年7月のスマートフォンMAUランキングでは10位と、前年から10ランク上昇しました。
一方Burger Kingは、自社のアプリをダウンロードしたユーザーで、かつMcDonald’sの店舗から600フィート(約180メートル)以内にいる人を対象に、ワッパーを1セントで販売するキャンペーンを実施。その結果、Burger Kingは米国で12月、iPhoneの「フード/ドリンク」アプリの日間ダウンロード数で1位になると、9日連続で首位を維持しました。
Burger Kingはすでに、2019年に異なるプロモーションにも着手しました。フードデリバリーアプリのDoorDashと提携し、2月3日開催の第53回スーパーボウルに先立って消費者に「ミステリーボックス」を注文してもらい、試合当日の45秒テレビCMで「指示」を提供するという手法です。その成果は記事執筆時点でわかっていませんが、はるかに明白なのは、2019年のモバイルとフードについての展望です。それは、ミステリーボックスであれ、1セントのバーガーであれ、工夫を凝らしたモバイルイノベーションがさらにたくさん、フードデリバリーアプリと既存のQSRの両方からこの1年で登場することを期待できるということです。
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