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大当たり! ファイナンスアプリのダウンロード数はこの3年間で75%増加し、2021年にはダウンロード数が59億に到達

Vincent Zhou

最新のdata.aiの分析によると、ネオバンク、決済ウォレット、暗号通貨取引がモバイルアプリにおけるダウンロード数の牽引に大きく貢献し、「外出先」でのお金の使い方が2021年に大きく変化したことがわかります

モバイルアプリが金融業界に及ぼした影響は計り知れません。銀行口座を持っていない人も気軽にアクセスできるようになり、それ以外の人は、利便性を追求しました。そして、買い物の仕方、決済方法、貯蓄方法、お金の借り方、投資の仕方に至るまで、 スマートフォンによってがらりと変化しました。この改革は2段階で起こり、第1の変化では、まず、モバイルバンキング用のアプリが登場しました。このアプリにより、人々は、銀行の支店を訪れることなく、預金残高の確認や送金手続き、資金管理等ができるようになりました。第2の変化は、非接触型のQRコード機能の登場です。モバイルは銀行のみならず財布の役割も果たすようになりました。

他の業界同様、モバイルがファイナンスアプリの分野をシェアする速度は新型コロナによって加速されました。data.aiの モバイル市場年鑑2022によれば、全世界におけるファイナンスアプリのダウンロード数は、2018年の34億から2021年には59億に急増し、実際、ファイナンスアプリのダウンロード数は、レポートで取り上げられている17カ国中16カ国で増加しています。

ラテンアメリカとインドによるモバイルユーザーが最大の成長を牽引

インドでのファイナンスアプリのダウンロード数は、2021年、10億を越えました。これは2018年の2倍以上となります。UPIおよびUPIをベースにしたアプリとインドの巨大なスマホ人口が相乗効果を生み、2021年における世界のファイナンスアプリの総ダウンロード数の6分の1をインドが占めました。 モバイル市場年鑑2022をダウンロードし、28の市場におけるトレンドをチェックしてみましょう。

特に増加した地域の1つに、ラテンアメリカがあります。メキシコ、アルゼンチン、ブラジルはそれぞれ過去4年間で順に250%、 180%、175%の成長を示しています。ラテンアメリカは、フィンテックブームが起こるのにふさわしい条件がそろっています(英語記事) 。人口の半数以上が銀行口座を持たず(英語記事)、 クレジットカードを所有している人も人口の20% に過ぎません。ブラジルでは、ネオバンクのようなフィンテック企業が(従来の銀行と共に)成人人口の88%にウェブ上に口座を開設させることに成功し、2017年と比べ28%の増加となりました。

また同様の変化がインドでも起こりました。ただ、こちらは銀行取引よりも、決済やMコマースに関連しています。インドには、PaytmMobiKwikGoogle Payなどの人気のモバイル決済が多くあり、それらが人々のショッピングの方法に変革をもたらしました。インドでは、年間のファイナンスアプリのダウンロード数が2018年の5億1600万から2021年には13億に倍増しました。

現金への依存を脱却し、顧客とビジネスをデジタル決済に移行させようというインド政府の決定もこの動きを後押ししました。インド政府は Unified Payments Interface (UPI)(英語記事)というすべての販売業者が加入し、リアルタイム決済を可能にするシステムを立ち上げました。UPIを上手く導入できたアプリが、コロナ禍からも力強く立ち上がり、その群れを率いて先頭に立っているのが、 PhonePeで、2021年のdata.aiの大ヒットアプリチャート にも1位に掲載され(前年比の成長率最も大きかったアプリと)、 1か月当たり25億件の取引を処理しました(英語記事)。

取引および送金アプリを驚くほど使いこなすZ世代

Z世代が最もよく使用するのは、フィンテックアプリです。逆にそれより上の年齢層は、モバイル版のファイナンスアプリを使用することが多い傾向にあります。様々な層ごとのすべてのアプリの一覧を data.aiのモバイル市場年鑑2022でご覧ください。

革新的な新しいファイナンスアプリを積極的に導入するのは若いスマートフォンユーザーであると言っても、驚きはありません。対照的に、上の年齢層は、信頼のあるブランドのモバイル版を選ぶ傾向にあります。利用率の高い月間アクティブユーザー(MAU)でトップアプリを見てみると、米国、英国の両方で、上位5位のアプリはすべてフィンテックのものでした。これには、 VenmoCash Appといった送金アプリ、goHenryGreenlightといったネット銀行、それに WebullRobinhoodTrading 212といった株式取引アプリが含まれます。

最も若いユーザーの世代であるZ世代の人たちが金融取引アプリに興味を持つのはいささか驚きかもしれませんが、Z世代は投資に回せる収入があまりない傾向にあります。しかし、そこがモバイルアプリの革新的なところで、アプリをタップするだけで、ほんの少額でも投資が可能かつ簡単に行えるようになりました。これは、市場全体で暗号通貨取引のアプリが成功している要因の一つかもしれません。ドイツでは、 BinanceおよびCoinbaseが2021年、Z世代によるダウンロード数の多いアプリとして上位にランクインしました。これらのアプリはフランスではそれぞれ3位と4位となっています。

ノーマークのYONO SBIが2021年、月間アクティブユーザー数においてネオバンクアプリの1位に

多くの地域では、その地域のネオバンクがランキングのトップに入っています。例外としてメキシコがあり、ブラジルのNubankが前年比で利用者数を大きく増加しました。市場の詳細な分析は、モバイル市場年鑑2022 をご覧ください。

月間アクティブユーザー(MAU)による世界のネオバンクにおける2021年のトップはYONO SBIでした。YONO SBIはスタートアップによりローンチされたのではなく、インドステイト銀行から派生し、2017年に設立されました。'You Only Need One'の頭文字を取ったYONOの名称で知られ、現在5400万以上の月間アクティブユーザー(MAU)を有しています。

人気のネオバンクアプリ、2位と3位もラテンアメリカによる激動のモバイルファイナンス市場から誕生しました。2位は Nubank で月間アクティブユーザー数、3800万人を獲得、昨年12月には 米国新規公開株で26億ドルの資金も得て、本年も確実にユーザー数の増加が予想されています。3位は、PicPayで、2021年は2300万人の月間アクティブユーザー(MAU)を獲得しました。PicPayは銀行というよりウォレットと呼ぶべきアプリですが、ローンやクレジットのテスト運用も始めています。これらのネオバンクは、従来の銀行ではカバーできなかった、銀行口座を持たない人口や、銀行のない地域のためには極めて重要で、コロナ禍において、この地域の人々はネオバンクを多く利用し、初期費用も開設条件も手ごろであることも相まって、口座開設が増加しました(英語記事)。 

PayPalは暗号通貨市場参入が大当たり – それでもまだ市場には参入の余地が多くある

2021年3月、PayPalは暗号通貨の世界に大きな影響を与えました。 Checkout with Crypto という新機能を立ち上げ、いくつかの販売業者から米国の顧客は暗号通貨を使用して商品を購入できるようになりました。この機能の目的は、安全に暗号通貨を使用してビジネスができるようにすることで、追加手続きや費用なしに、すべての取引は米ドルに換算され、精算されます。

注目度が高かったこともあり、PayPalはすぐに暗号アプリのランキングのトップに躍り出ました。data.aiのモバイル市場年鑑2022の2021年のエンゲージメント指標で見ると、PayPal は1か月のユーザーあたりのセッション数が225に達し、WazirXの160 セッションやRobinhoodの91セッションを大きく上回っています。

PayPalの市場参入に関わらず、暗号アプリの業界は、多くの競合がぶつかり合う、激しい市場となっています。2021年の大きな話題の1つは、CoinDCXがインドで登場したことです。2020年第四四半期にローンチされたばかりのアプリですが、ダウンロード数の多かった暗号通貨アプリのうち、世界で9位にランクインしています。2022年4月には、1億3500万米ドル相当の新しいファンド、Dシリーズ を発表しました。

暗号通貨アプリは、急激にダウンロード数が増加し、金融アプリの中でも最もダウンロード数の多いサブジャンルの1つとなっています。Z世代がすでにこういったアプリを受け入れているように、近い将来、これまで何世紀にもわたって従来の銀行が担ってきた役割を引き継ぐことになり、今後もますます増加していくと予想されます。

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2022 M04 27

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