近年、世界のモバイルゲーム市場は急速な拡大が続きました。ゲームに対する消費支出の推移をデバイス別にまとめた調査で、モバイルゲームアプリは2016年、家庭用ゲーム機に対してもPCとMacのゲームに対してもリードを広げました。
中国のモバイルゲーム市場は近年急速に成長し、世界最大の規模になりました。しかし、国内のモバイルゲーム市場は大手のTencentと Neteaseの支配が続いており、中国の中小規模の、特に大手のマーケティング力とリーチに直面しているパブリッシャーには、国外市場が国際的な拡大とマネタイズの好機をもたらすでしょう。
App Annie Intelligenceのデータによると、中国に拠点を置くパブリッシャーが国外市場で生み出したゲーム収益(中国国内の子会社とTencentのSupercellのような国外子会社による収益を含む)は、2016年上半期から2017年上半期の1年間で100%以上増加しています。ただ、国外子会社がリリースしたゲームを除外すると、約40%の増加になります。中国の国内市場については、中国に拠点を置くパブリッシャーが手がけるiOSゲームの収益は、約90%の増加でした。
2017年上半期、中国のゲームパブリッシャーの国外の上位3市場は米国、日本、台湾でした。さらに言うと、最大かつ最重要の市場は変わらず米国で、国外ダウンロードでは約15%を、国外収益では35%を占めています。
ゲームジャンルの好みは国によって異なる
App Annieの調査では、中国発のゲームに対するジャンルの好みに、国による著しい差があることも明らかになっています。例えば、ドイツや米国ではCastle ClashやLords Mobileのような戦略ゲームが合計収益シェアの半分以上を占めたのに対し、日本や韓国など近隣の東アジア諸国では、MU Originや Onmyojiのようなロールプレイングゲームがかなりのシェアを占めています。
中国の大手ゲームパブリッシャーは伝統的に、自国のオーディエンスの好みに絞り込んだゲームプレイ、ビジュアル、ソーシャルの要素を組み込むことによって、自国市場で成功を収めてきました。場合によっては、国際的にあまり知られていない民話、歴史、神話、伝統的なキャラクターを組み入れることにもなります。それに対し、国外市場で成功を収めている中国拠点のパブリッシャーは、映画やテレビのような大衆文化に言及するなど、国際的により広く人気があるビジュアルスタイルとテーマでゲームを開発する傾向があります。その一例はFunPlusが手がけたキング・オブ・アバロン: ドラゴン戦争(KoA) です。このゲームは、 2016年11月に米国とオーストラリアにおいて、iOS App Storeの総合収益デイリーランキングの1位になるなど、都市の建物、リソース管理、マルチプレイヤーバトルのようなよく知られた要素を利用することによって大きな成功を達成しました。中世ファンタジーをテーマにした表示スタイルの舞台に、たくさんの人が待ち望んだドラゴンを育てる能力を追加し、これが好意的なレビューと長期のエンゲージメントを獲得しました。
大手と新興のパブリッシャーが引き続きグローバルな足跡を拡大
中国ではゲームパブリッシャーが増加し、国の内外で素晴らしい成功を収めています。国内でリードを維持してきたゲーム最大手のTencentは、ゲーム大手Supercellの買収により国際展開を一層加速させるでしょう。さらにElex Technologyや IGGのような他の大手パブリッシャーが、長年にわたり国外市場に注力し、多様なジャンルで好業績を維持していますが、意欲的な新興パブリッシャーの台頭も続いています。例えば、最近の成功で注目を集めたYouzuです。中国拠点パブリッシャーの国外におけるダウンロード数と収益で上位につけ、2016年下半期から2017年上半期の間に、ダウンロード数ランキングでは22ランク、収益ランキングでは9ランク上昇しました。
Youzuは2017年上半期、戦略ゲームLegacy of Discordが目覚ましい成長を収め、すでに32カ国でiOSの総収益のデイリーランキング1位を達成しています。この成功は、中国に拠点を置く新興パブリッシャーでもグローバルな大手と競争する機会が十分にあることを示しています。
ゲームは引き続きアプリストアの収益増の大半を占めており、その収益は4年後には2016年の2倍以上になると予測されます。外国で新市場の開拓を目指すことは、世界中のゲームパブリッシャーにとって成長と拡大に欠かせない戦略になるでしょう。アプリ利用状況でリードしている主要国をさらに詳しく調べ、ゲーム利用時間が特に長い国を把握するには、App Annieのレポート『消費者のアプリ利用状況』の全文をぜひご覧ください。
レポートの調査方法とアップデートについてはこちらで確認できます。
2017 M09 3
Market Data