新興市場が動画ストリーミングアプリの勢いを加速させる一方、多様なマネタイズモデルがコンテンツ利用の拡大に寄与しています。
モバイルのストリーミング動画はユーザーの生活の一部となり、過去1年間の視聴時間累計が全世界で約800億時間にのぼりました。Netflixのようなオンラインファースト企業がモバイル動画コンテンツの第一選択肢になっている地域もあれば、テレビ放送事業者が競合他社をリードしている地域もあり、またその数字は当然ながら、デバイスやデータの価格によって地域差があります。しかし全体として、この分野における成長の大部分は、アジア太平洋地域(APAC)市場の劇的な変化がもたらしました。世界のモバイル動画ストリーミングの利用時間は2015年上半期から2017年上半期にかけて150%増加したものの、APACにおける利用時間は同じ期間に300%以上も急増したのです。
App Annieの最新レポート『アジアの動画ストリーミングアプリの現状』では、この急成長について詳しく分析しました。以下に、レポートの興味深い要点をいくつかご紹介します。
APACのモバイル動画視聴時間、世界全体の半分近くに
App Annieは、Androidにおける動画ストリーミングの視聴時間を過去2年間にわたって計測しました。2017年上半期にはAPACの視聴時間が400億時間を記録し、全世界の視聴時間の半分近くを占めています。収益に目を向けると、iOS App StoreとGoogle Playを合わせた「エンターテインメント」カテゴリーの収益額の比較で、2017年上半期にはAPACが南北アメリカを抜いて世界最大の地域となりました。この逆転に寄与したのが、動画ストリーミングアプリです。
中国ではマネタイズの障壁が低くなり、動画ストリーミングが急成長
中国では、国内の動画ストリーミングプラットフォームが優勢です。上位5位の動画ストリーミングアプリの平均MAU(月間アクティブユーザー数:アプリの成功を測る標準的尺度)は、昨年から50%の伸びを示しました。この成長を後押ししているのは、柔軟なマネタイズモデルです。中国のカジュアルユーザーには都度課金の料金体系が人気で、そのため動画ストリーミングアプリでは、サブスクリプションに加えてアプリ内購入のオプションが広く提供されています。
平均MAUの年間成長率はインドがトップ
上位の動画ストリーミングアプリの平均MAUは、APAC全体で堅調な伸びを示しているものの、成長率の高さでは、新興市場であるインドが、韓国、日本、シンガポールなどの成熟市場を上回っています。インドでは、上位5位の動画ストリーミングアプリの平均MAUが過去1年間に100%以上増加し、調査対象となった他のAPAC諸国と比べて倍以上の成長率を記録しました。この高い成長率を牽引しているのは、インドの放送大手やコングロマリットといった国内のパブリッシャーです。
以上は、最新レポート『アジアの動画ストリーミングアプリの現状』で閲覧できる貴重な情報のごく一部です。個々の動画ストリーミングアプリに関する詳細や、現地のプラットフォームと国際的なプラットフォームにおけるトレンド、オンラインファーストの動画アプリでエンゲージメント期間がより長くなる傾向などについて、ぜひレポート全文を入手してご覧ください。