クラウド翻訳プラットフォームのOneSkyから ASO対策をローカライズすべき理由とノウハウを学びます。
アプリのマーケティングで忘れられがちな重要な事実があります。それは、今日のアプリビジネスでうまくやっていくためには、1つの市場を勝ち取るだけでは不十分だということです。アプリビジネスに参入したその日から、全世界でどのように優位に立つのかが問題となります。
アプリストアについて考えてみましょう。アプリストアは、たくさんの各国・地域版を用意することで、完全にグローバルな市場を構成しています。現在、世界の2大アプリストアであるiOS App StoreとGoogle Playは、どちらも130を超える国や地域で利用できます。
米国のiOS App StoreとGoogle Play(数千万のユーザーを抱える2つの市場)でアプリがランキングの上位に入れば、素晴らしい成果と言えます。しかし、世界のあらゆるアプリストアで1位を獲得すれば、何百という市場で何十億人ものユーザーを獲得することが出来ます。
App Annieによると、世界のアプリ市場のトップ3は米国、中国、韓国です。このトップ3のうち、中国と韓国の2カ国は英語圏ではなく、文化も違います。ASO対策をグローバルに考えなければならないのはこのためです。各市場に合わせてローカライズと最適化を行うことで、地球規模での成功を実現できるのです。
ASOがグローバルでなければならない3つの理由
ローカライズを念頭に置いてASO対策を実施しなければならない理由は、主に3つあります。
1.見つかりやすさ
ローカライズによってキーワードを増やせる
iOS App Storeの地域バージョンには、2つ以上の言語でインデックスされているものがたくさんあります。たとえば、日本のiOS App Storeは英語(米国)と日本語の両方でインデックスされているため、キーワード欄の文字数は各言語につき100文字、合計で200文字となります。これは大半のアプリストアに当てはまることで、複数の言語を使えば、キーワードに使える合計文字数が100文字を超えるのです。このことをうまく利用して、キーワードの量を2倍にしましょう。AppleのApp Storeには、各地域ストアでどの言語がインデックスされているのかを確認できるリストが用意されています。
ローカライズはアプリストアでのフィーチャーに役立つ
すでに述べたように、iOSとGoogle Playは、それぞれ世界の155の地域でアプリストアを開設しています。各地域のアプリストアがその地域のベストアプリを絶えず探しているため、どの地域でも、母語のアプリの方がベストアプリに選ばれる確率は高くなります。
アプリをローカライズすれば、大きなアドバンテージがもたらされます。実際、英語ではない言語のアプリストアの多くが、その言語で利用できる素晴らしいアプリのためだけに特別なセクションを用意しています。
サクセスストーリーには事欠きません。Blue Tea Gamesの創業者兼CEOのSteven Zhao(スティーブン・チャオ)氏は、戦略カードゲームMavenfallをローカライズして全世界に公開しました。ほどなく、Mavenfallは120カ国でAppleの「ベスト新着ゲーム」にフィーチャーされ、香港と台湾では「スタッフのおすすめ」に選ばれたのです。
「国境を越えて成長し、世界のオーディエンスにリーチすること目指すあらゆるゲームにとって、ローカライズは大切です」と、Zhao氏は自らの成功について述べています。「これがAppleにフィーチャーされた理由であることは間違いありません」。
Mavenfallは完全に中国語にローカライズされ、香港と台湾のApp Storeではスタッフのおすすめに選ばれました。
2.コンバージョン
Common Sense Advisoryが実施した調査によれば、世界の消費者の72.4%が、オンラインで買い物をする際に外国語より母国語を好んで使用しています。
ローカライズされた製品は、その地域のスマートフォンユーザーにアピールします。こうした製品は、パブリッシャーが現地のユーザーに配慮していることを示すことになります(もちろん、ローカライズの質が高い場合に限りますが)。自社アプリを翻訳すれば、ダウンロードされる可能性は高くなるでしょう。英語が堪能でないユーザーが大半を占める市場では、より一層ローカライズが重要になります。
数字は嘘をつきません。複数の調査によれば、ローカライズされたアプリは、その市場の母国語版が追加されてから最初の1週間だけで、ダウンロード数を平均で128%増やしました。さらに、ローカライズされたアプリの収益も、最初の1週間で26%増という頼もしい数字を記録しています。iOSアプリのキーワードをローカライズしただけでも、ローカライズしていないキーワードと比べてダウンロード数を767%増やすことが可能です。
3.体験
ローカライズは、達成した目標値のような測定可能なデータ以上の意味を持つ場合があります。それは、自社のブランドの構築です。ローカライズは、パブリッシャーが現地のユーザーや文化的多様性を尊重していることを示すことになるため、ブランドが強化されます。
英語が、世界中の膨大な数の人々が理解できる共通言語であることは事実です。しかし、世界中のユーザーに感銘を与える手段があるのに、自社のブランドを名前が知られている程度にとどめておく理由はありません。かつてネルソン・マンデラはこう言いました。「もしあなたが相手の理解する言語で話かけるなら、話は頭に届きます。もしあなたが相手の言語で話かけるなら、話は心に届くでしょう」。
一例として、Evernoteを取り上げてみましょう。このノートアプリは、中国のアプリストア向けにローカライズするにあたって、特別な注意を払いました。そして、その努力は報われたのです。
彼らが取り組んだローカライズで特筆すべき点は以下の通りです。
- Evernoteはブランド名を中国語にローカライズする際、印象的な語呂合わせを使いました。「Ever」に相当する部分を「印象」と翻訳した結果、2番目の漢字の「象」がEvernoteのロゴに描かれたゾウとうまい具合に一致し、ブランド名が覚えやすくなったのです。
- アプリストアのスクリーンショットを入念にローカライズしました。
Evernote中国語版はWWDC2016のプレゼンに登場しました。
グローバルなASO戦略をうまくスタートさせる方法
徹底的に調査する
自社アプリのローカライズに取りかかる前に、ターゲット市場を徹底的に調査しましょう。調査すべき項目は以下の通りです。
- 自社アプリのユーザーが全世界でどのように区分されるか。
- 地理的分布
- 言語
- ターゲット市場ならではの特徴は何か。
- 公用語
- 英語能力
- 市場規模
- 現地の競合アプリ
- 現地アプリストアのインデックスに使われている言語
このような取り組みを行うにあたっては、App Annieのような分析ツールが役立ちます。
小規模でスタートする
ローカライズは、製品開発を迅速に行うときと同じルールに従い、小さく無駄なく開始しましょう。OneSkyでは、「最小限で実行可能なローカライゼーション」(Minimum Viable Localization:MVL)というローカライズ戦略を提唱しています。
MVLの考え方はシンプルです。まず、最小限のコンテンツをローカライズします。現地のユーザーが自社アプリを見つけ、内容を把握できるだけの情報があれば十分です。このローカライズが結果を出したら、翻訳の範囲を拡大してアプリ全体をローカライズします。MVLの迅速さは、リリースサイクルの実験的段階に最適です。というのも、これによって特定地域の市場の将来性をテストできるからです。また、世界的によく使われる機能を多数搭載しているアプリ(生産性アプリ、ユーティリティーアプリ、モバイルゲームなど)にとっても、MVLは適切な戦略です。
リリースが完了したら、StoreMavenのようなA/Bテスト用ツールを利用して効果を最適化できます。自社アプリを完全にローカライズする方法を学びたい場合は、OneSkyのアプリローカライズガイドをご覧下さい。
ツールを活用する
翻訳管理システム(TMS)を利用すれば、グローバルなASOの管理が簡単になります。TMSは、主に以下の3つの方法で翻訳ワークフローを支援します。
手順の自動化
TMSは自社アプリのプラットフォームと統合されるため、アプリストアのリストを自動的にインポートおよびエクスポートできます。そのため、手作業でコピー&ペーストする時間が節約されます。
コストの削減
TMSはさまざまな重複を排除することによって、翻訳プロセスを合理化します。重複を減らすことは、経費の削減につながります。
容易な拡張
TMSの翻訳メモリ機能により、翻訳済みのすべてのコンテンツが整理され、調整してすぐに利用できる状態に維持されます。
ASO対策についてさらに詳しく知りたい方は、App AnnieのASOプレイブックをダウンロードして下さい。
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Patrick YipはOneSkyでマーケティング部門を統括しています。OneSkyが提供するクラウド翻訳プラットフォームは、ローカライズプロジェクトの管理、プロの翻訳者へのアクセス、クラウドソーシングといった分野で、Day One、WeHeartIt、QuizUpなどのモバイルアプリを支援しています。Patrickは、優れた成長戦略、丁寧に作り込まれたコンテンツ、そして、インターネットを世界中でアクセス可能にするという理念に大いに関心を持っています。 |