背景
日本発のC2Cマーケットプレース メルカリは2013年7月にリリースされ、その直感的なデザインと効率的な決済プロセスで、一気に日本市場における成功をその手にしました。ユーザーは売りたいものの写真をとって投稿をし、購入者は簡単にそれを価格交渉し、購入することが出来るというプラットフォームで、メルカリは、日本のオークションやマーケットプレースのサービスを抜き去り、2016年3月には84億円の資金調達に成功しました。これにより、いわゆるユニコーンとしての注目を集めています 。
また、メルカリはその初期から、海外進出を視野に入れており、2014年9月にはアメリカでサービスをローンチしています。
App Annie Intelligence でアメリカでの成功を手中に
想像に難くはありませんが、アメリカでの成功には困難も待ち受けていました。その一つは、競合を理解し、その中で自社がどこに位置しているのかを把握することだったと、メルカリのデータサイエンティスト石附氏は振り返ります。「アメリカでの競合に関するApp Annieの詳細なデータを用いることで、現実的なベンチマークの設定や、既存施策の改善をすることが出来ました。」
日本では、早期の成功により、メルカリは競合との戦い方を把握していました。「国内のサービスであれば肌感覚で分かる部分も多く、周囲からの情報を頼りに自社・他社の規模感をある程度理解できました。しかし北米の市場となるとそれが難しく、市場データが必要だったのです。」と石附氏は語ります。
そこでメルカリは、アメリカにおける競合のダウンロード数や収益、デモグラフィックや利用状況の推計値を得るためにApp Annie Intelligenceに目を向けました。「新しい市場でのユーザー獲得や質の高いダウンロードを増やすために、この情報が必要だとわかりました」と石附氏は言います。
複数の指標を用いた戦略の評価
アメリカでのダウンロードを積み上げる一方、メルカリはアプリをインストールしたユーザーのリテンションにもフォーカスをしてきました。App Annie Intelligenceを用いて競合のリテンション施策を分析することで、自社のリテンション施策に役立つ示唆が得られたと、石附氏は語ります。
「競合アプリのリテンション施策の本当の効果を知るために、App Annieで提供されるアクティブユーザー数、滞在時間、インストール率、ユーザー利用率といった複数の指標をかけ合わせて見ています。アクティブユーザー数だけを見ると、ある施策が有効に見えるかもしれませんが、そこには、1日しかアプリを使わなかったユーザーや、すぐにアプリをクローズしたユーザーも含まれているんです」
App Annieのデータを用いて、競合アプリのリテンション施策の効果を分析することで、メルカリは、どういった施策が最も効果的なのかという仮説をたて、自社の戦略に落とし込むことができるようになりました。
グローバルでのユーザー獲得戦略
メルカリは入念に計算されたユーザー獲得戦略を実行し、2016年の7月には、アメリカのiOS App Storeの無料ダウンロードランキングで、3位にまでのぼりつめています。自社の広告戦略を考える上で、メルカリはApp Annie Intelligenceを用いて、他社のキャンペーン期間中のダウンロード数の変化をトラックし、テレビCMのような従来型のキャンペーンの効果も評価しています。
「今後、 競合がどのようなクリエイティブを使っているのかMarketing Intelligenceのデータも見てみたいと思っています。海外でどのようなキャンペーンがうまくいくのかは、興味があります」と石附氏はメルカリとApp Annie Intelligenceの今後の展開にも期待を寄せています。